「それ、ネタでしょ?!」と思う理由を考える
こんにちは。暑いですね。雨の地域は大丈夫でしょうか。
覗いていただいてありがとうございます。
昨日、ボーっと見ていたEテレのB面談義。
すると、ろう者の落語家が、仕事をしていたころの話をはじめました。
大量の資料を前にして、上司から「『きって』持って来い」と言われた。
はさみを取り出して、資料を細かく『切って』上司の元に持っていくと
「『切手』持って来い、と言ったんだ!!」と指摘された。
それを聞いていた司会者は「それ、ネタでしょ?!」と、鋭くヒトコト。
周りの人の多くは、そのツッコミに笑っていたけれど、隣にいた弁護士さんは「こういうことはよく聞く」と真剣な顔で話を続けていた。
そこで、ふと思った。
なんで、司会者はネタだと思ったんだろう?
同じような話を以前にも聞いた。
ろう者の先生が話した、高校時代の体験談だ。
部活で、先生に「『コーン』持って来い」と言われた。
でも自分は、コーン=とうもろこし、だと思っていて
「なぜ、先生は今とうもろこしを欲しがっているのか?」
とマジメに悩んでしまったことがある。
その時、その話を聞いていた受講生も笑っていた。
たぶん私も笑っていたと思う。どうして笑ったんだろう。
思うのは、「まさかそんなこと起こるの?」という、想像とかけ離れたところで生じた出来事だからなんだと思う。
アンジャッシュのコントに似ていると思う。
言葉のやり取りは通じる。でも、お互いの立場や前提として持っている情報・知識が違うから、言葉を受けて想像する状況が、まったく一致していない、あの感じ。
資料が目の前にあれば『切って』の選択肢も間違いとは言い切れない。
『コーン』がとうもろこしを意味する、という知識も正しい。
聞こえる人は、音が聞こえてから本当にわずかな時間で、同音異義語を判別し、その場における正解を導き出しているんだと思う。でもこれには、いくつかの条件が必要になる。
・正しく聞き取れていること
・聞きとった音に同音異義語があるという知識を持っていること
・該当する同音異義語を知っていて、意味も含めて思い出せること
・文脈にあてはまる“正解”を判断できること
どこかに苦手があったり、エラーが生じるとこの流れはつまづいたり、間違った答えを導いてしまう。
でも、聞こえる人にとっては造作ないことで、考える間もなくやってしまう。だから、間違えることが想像できないんだろう。
知るは難き、想像も難き。…ではできることは何?