よしやおくるとも

たいせつなものがなぜたいせつか。考えて、いつか確認する時のためのブログ

「それ、ネタでしょ?!」と思う理由を考える

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絵本展の入口。ヨシタケシンスケさんが好きです。


こんにちは。暑いですね。雨の地域は大丈夫でしょうか。

覗いていただいてありがとうございます。

 

昨日、ボーっと見ていたEテレのB面談義。

www.nhk.or.jp

 

すると、ろう者の落語家が、仕事をしていたころの話をはじめました。

 

大量の資料を前にして、上司から「『きって』持って来い」と言われた。

 はさみを取り出して、資料を細かく『切って』上司の元に持っていくと

 「『切手』持って来い、と言ったんだ!!」と指摘された。

 

それを聞いていた司会者は「それ、ネタでしょ?!」と、鋭くヒトコト。

周りの人の多くは、そのツッコミに笑っていたけれど、隣にいた弁護士さんは「こういうことはよく聞く」と真剣な顔で話を続けていた。

 

そこで、ふと思った。


なんで、司会者はネタだと思ったんだろう?

 

同じような話を以前にも聞いた。

ろう者の先生が話した、高校時代の体験談だ。

部活で、先生に「『コーン』持って来い」と言われた。

でも自分は、コーン=とうもろこし、だと思っていて

「なぜ、先生は今とうもろこしを欲しがっているのか?」

とマジメに悩んでしまったことがある。

 

その時、その話を聞いていた受講生も笑っていた。

たぶん私も笑っていたと思う。どうして笑ったんだろう。

 

思うのは、「まさかそんなこと起こるの?」という、想像とかけ離れたところで生じた出来事だからなんだと思う。

 

アンジャッシュのコントに似ていると思う。

言葉のやり取りは通じる。でも、お互いの立場や前提として持っている情報・知識が違うから、言葉を受けて想像する状況が、まったく一致していない、あの感じ。

 

資料が目の前にあれば『切って』の選択肢も間違いとは言い切れない。

『コーン』がとうもろこしを意味する、という知識も正しい。

 

聞こえる人は、音が聞こえてから本当にわずかな時間で、同音異義語を判別し、その場における正解を導き出しているんだと思う。でもこれには、いくつかの条件が必要になる。

・正しく聞き取れていること

・聞きとった音に同音異義語があるという知識を持っていること

・該当する同音異義語を知っていて、意味も含めて思い出せること

・文脈にあてはまる“正解”を判断できること

どこかに苦手があったり、エラーが生じるとこの流れはつまづいたり、間違った答えを導いてしまう。

 

でも、聞こえる人にとっては造作ないことで、考える間もなくやってしまう。だから、間違えることが想像できないんだろう。

 

 

知るは難き、想像も難き。…ではできることは何?